2023年10月24日火曜日

書籍紹介(タイパの経済学)

昨年、辞書を編む人が選ぶ「今年の新語2022」の新語ベスト10の大賞に選ばれたという
「タイパ(タイムパフォーマンス)」
そのタイパの事象を、様々なアンケートや実態調査等のデータを用いて明文化した本です。




著者自身がタイパについて調べれば調べるほど、定義や現象を説明しきれていないことが多いと述べている通り、タイパという言葉の定義があいまいであるものの、今では効率化の追求そのものをいうことも多いようです。

そして、タイパという言葉が流行した背景として、

給与の減少により生活費が下がっているうえ、ネットの普及やSNSのインフラ化により、情報量が圧倒的に増加

つまりは、

自由に使えるお金(時間)は減っているのに

欲しい(やりたい)と思えるモノばかり増えていく時代




有り余るコンテンツの中から、取捨選択する行動の何が悪いのか?
と思ってしまったのだが、

タイパ=実利に役立たない物を切り捨てる功利主義

という、明らかに負のワードとなっていると感じる。

さらには、Z世代、ファスト映画、倍速視聴…というワードがタイパから連想されるように

例えば、映画を観ること(エンタメ・感動を得ること)が目的ではなく、(承認欲求として)観たという状態を作ることが目的、つまりは学生時代の宿題と性質が似ている

ということらしいから、ますます訳がわからなくなってくる。


そもそも辞書を編む人が選んだ新語大賞でありながら、何故タイパという言葉の定義がここまで曖昧なのか?

少なくとも世間一般のタイパという言葉の認識と、自分の認識が相当ズレている


人生の中の限られた時間をどれだけ有意義に過ごしたか

具体的には

「何をしたか」ではなく、「(その時間の幸福度も含めて)何を得られたか」

で、いいではないのか?

極端な話、東京から大阪までの2時間強の新幹線の中で、ボーっと窓の外を眺めていただけでも、それがとても心地よく、ましてや仕事の改善策の1つや2つ浮かんだのであれば、タイパがいいと考えるべきだし、逆に倍速視聴の映画1本とビジネス書1冊の要約を何とか読み終えることができても、モヤモヤしか残らなければタイパは最悪ではないのか?

決して映画のスキップや要約本の読書を否定したいのではない。

もっと素直に、
何か深く興味を持つことへの入口を用意してくれたものだと思えばいいではないか。

こういう言い方をすると身も蓋もないのだが、倍速視聴で映画を観ることが悪いのではなく、そもそもたっぷり2時間かけて視聴するほど魅力のある映画が少ないだけではないのか。


本当に魅力を感じる映画であれば、同じ映画を繰り返し何度も観ることもあるだろうし…





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